ビタミンKは、脂溶性ビタミンの一種で、主に血液の凝固機能を正常に保つために必要とされています。このビタミンは、骨の健康維持にも関与していることがわかっています。ビタミンKはその化学構造により、主にビタミンK1とビタミンK2の二つの形態に分けられます。
ビタミンK1(フィロキノン)
ビタミンK1は、緑葉野菜や野菜油(大豆油やカノーラ油など)に豊富に含まれています。この形態のビタミンKは主に植物由来であり、人間の肝臓で使用され、血液が適切に凝固するのを助ける役割を果たします。
ビタミンK2(メナキノン)
ビタミンK2は、特定の種類の発酵食品や動物性食品に含まれており、また腸内細菌が生産することもあります。K2は数種類のサブタイプに分かれ、MK-4からMK-10までの異なる鎖長のイソフォームが存在します。ビタミンK2は骨の形成を助けるカルシウムの組織への取り込みを促進し、動脈の健康を維持することにも関与しています。
日本における推奨摂取量
ビタミンKの推奨摂取量は、性別や年齢によって異なりますが、一般的な成人では以下のようにされています
- 成人男性:約150 µg/日
- 成人女性:約150 µg/日
妊娠中や授乳期の女性は、医師の指導のもとで適切な量を摂取することが推奨されます。
日本の平均摂取量
日本人の平均的なビタミンK摂取量は、推奨される摂取量を満たしていると考えられています。特にビタミンK2は納豆などの食品を通じて比較的高い摂取量が見られます。
世界の平均との比較
世界的に見ても、日本はビタミンK2の摂取量が高い国の一つです。これは、日本固有の発酵食品である納豆が豊富に摂取されているためです。
概要と基本的な働き
ビタミンKは、主に以下のような働きを持っています
- 血液凝固:ビタミンKは、血液が固まるのを助けるために必要なタンパク質の生産に不可欠です。
- 骨の健康:カルシウムの正常な利用を助け、骨の健康維持に役立ちます。
特に必要な人
- 高齢者:骨粗しょう症の予防のため
- 抗生物質を長期間使用している人:腸内のビタミンK生成菌が減少するため
- 新生児:出生後すぐにビタミンKの注射が行われることが多い
効果的な食品
- ナットウ:ビタミンK2が豊富で、骨の健康をサポートします。
- 緑葉野菜(ほうれん草、ケール):ビタミンK1が豊富で、血液の健康を促進。
- ブロッコリー:骨の健康に良いとされる。
- チーズ:特定の種類にはビタミンK2が含まれ、骨の健康に貢献。
- 卵黄:小量ですがビタミンKを含みます。
類似の効果の栄養素
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助け、ビタミンKと共に骨の健康をサポートします。
- カルシウム:ビタミンKと同様、骨の健康に直接関与します。
過剰摂取による影響
ビタミンKの過剰摂取は一般的には珍しいですが、過剰に摂取することで血液が過度に凝固しやすくなる場合があります。特に血液凝固抑制薬を使用している人には注意が必要です。
摂取不足による影響
ビタミンKの摂取不足は、出血傾向を高める可能性があります。新生児では重度の出血(新生児出血症)が起こることがあり、これを防ぐために出生時にビタミンKを投与することが一般的です。
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